2012年4月4日水曜日

小児用肺炎球菌及びヒブワクチン、接種後死亡事例を考える:六号通り診療所所長のブログ:So-netブログ


こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今年になり、
ヒブワクチン及び小児肺炎球菌ワクチンの接種において、
幾つかの問題が浮上しました。

まず前段階として、
昨年の11月26に2回目のヒブワクチンを接種した、
10歳未満のお子さんが、
その翌日に死亡した、
という事例がありました。

これがおそらく、
日本におけるヒブワクチン接種後の、
死亡事例報告の最初のものです。
(後に述べますが、
報告は遅れて7例目とされた事例は、
実際には昨年の7月に接種された、
時系列としてはこれより以前のものです)

このお子さんは、
最初のヒブワクチンの接種後には、
特に問題はなく、
初回接種1ヶ月後の2回目の接種後、
翌早朝に心停止で発見されています。

その後3月2日から4日までの間に、
ヒブワクチン及び小児肺炎球菌ワクチンの、
特に他のワクチンとの同時接種の事例において、
接種後数日以内の死亡事例が、
相次いで4例報告され、
そのために3月4日に両ワクチンの接種は、
一時見合わせの方針が急遽決まりました。
その後の検討会の資料では、
事例は7例に増えています。

その後3月24日に専門家の会議が開かれ、
その結果として両ワクチンの接種は、
4月1日より再開されました。

ただ、その決定にご不安を持っているお母さんも、
多いのではないかと思います。

それで、今日は僕なりに、
報告された接種後死亡事例について、
検討を加えてみたいと思います。

事例の詳細が発表されたので目を通すと、
1例目と2例目の事例は、
ワクチンとの関連性が否定出来ないと考えますが、
それ以外の事例は、
無関係とまでは言い切れないにしても、
ワクチンとの関連性が、
それほど高く疑われるものではなさそうです。

1例目は染色体異常をお持ちの2歳のお子さんで、
ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの初回の同時接種後、
その翌日に心肺停止で発見され、死亡されています。
直接死因は誤嚥による窒息が疑われ、
解剖の肉眼所見もそれを裏付けています。


prgnancy中に避けるために何

うつ伏せの状態で発見されていて、
染色体異常があるので、
その定義からは外れますが、
所謂乳児突然死症候群(SIDS)に、
準じるような病態が想定されます。

SIDSというのは、
皆さんもご存じの通り、
それまで元気な乳幼児が、
突然睡眠中に死亡状態で発見されるもので、
現時点ではうつぶせ寝と人工栄養、親の喫煙などが、
そのリスクとされています。

ただ、SIDSとワクチン接種との関連は、
以前から何度も問題になった経緯があり、
多くの報告ではSIDSとワクチン接種とは無関係
(むしろワクチン接種群で発生が少ない)との結果ですが、
調査は継続中であり、
その点においての日本人での信頼の置けるデータは、
あまりないのが実情なのではないかと思います。

2例目の事例は、
1歳の特に基礎疾患のないお子さんで、
ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンを初回で同時接種し、
その数時間後より39度代に発熱、
翌日医療機関を受診し、
咽喉が赤いため風邪との判断で抗生物質が処方され、
同日の診療から数時間後に、
心肺停止で発見されています。

解剖にて脳浮腫及び肺水腫が認められるも、
死因は不詳となっています。
(後日ヒトメタニューモウイルスが、
お子さんの咽喉の検体から検出されています)

このケースは僕はワクチンとの関連性は、
あるのではないか、という意見です。

ワクチン接種から半日程度経過した時点での、
比較的急激な発熱と上気道炎様症状は、
僕自身も経験していますし、
メールなどでご相談を受けるケースでも、
しばしば遭遇する事例です。

たまたま風邪の潜伏期と、
ワクチンの接種時期が重なったのだ、
という説明をされる先生が多いのですが、
仮にそうだとしても、
何らかの修飾はその症状に与えていると、
僕は思いますし、
実際に僕の経験した事例で考えてみても、
その時流行っていたウイルス感染の病状とは、
明らかに相違する経過を取り、
熱の出方が強く全身的な湿疹の事例が多いなど、
何らかの免疫反応の亢進が、
病態に絡んでいる可能性を感じさせます。


何がconstapationを引き起こす

勿論これは僕の個人的な見解であり、
そうしたことが一般に言われている訳ではありませんが、
ワクチン接種とウイルスなどの外来の感染症が、
同時に存在する時には、
その感染症状が通常とは違う経過を取り、
重症化し易いのでは、
というのが僕の仮説です。

この事例の臨床上の問題は、
ワクチン接種後数時間での発熱に対して、
確証もなく抗生剤の投与を行なっていることで、
これはするべきではなく、
投薬はせずに翌日の受診を指示するべきではなかったか、
と僕は思います。

事例3は6か月未満の乳児で、
2回目の肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンに、
3種混合の1回目を同時に接種した、
という事例です。
接種の3日後に心肺停止で発見されており、
死因はSIDSとされています。

これは実際にはワクチンとの因果関係は、
あまりないと僕は思います。
肺炎球菌ワクチンは2回目ですし、
死亡までの期間も3日で、
その間に特に感染症状も見られていません。
何らかの急死の要因が、
ワクチン以外にあったものと考えられます。

ただ、現時点の規則の中で、
5価のワクチンを同時に接種し、
お子さんに同時に3回針を刺す、
というのは、
ちょっと問題がありはしないかと思いますし、
SIDSの診断には解剖は必須なのに、
それ以前に診断をしているという、
その判断も誤りだと思います。

事例4は重症の心疾患をお持ちの1歳未満のお子さんで、
事例3と同じ3種5価のワクチン同時接種後、
その2回目の接種翌日に死亡されています。
解剖は行われるも死因は不明です。

2回目の接種後ですから、
アレルギーの機序の関与は否定的です。
解剖でも脳や肺に炎症所見や出血は見られていません。

この事例は時間の経過からは、
ワクチンが無関係と言い切れないのですが、
いずれも2回目の接種であることを考えると、
主な急死の要因は、
ワクチン刺激以外に存在したと、
考えた方が妥当ではないかと思われます。

つまり、急性の心臓死の可能性が、
高いと考えられます。


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事例5は矢張り重症の心疾患をお持ちの、
6ヶ月未満のお子さんで、
ヒブワクチンとBCGを同時接種後、
2日後に自宅で呼吸停止を来たしています。
解剖は行なわれておらず、
これも急性の心臓死の可能性が高いと思われますが、
詳細は不明です。

事例6は基礎疾患のない、
6ヶ月以降1歳未満のお子さんで、
3種混合ワクチンの2 回目と、
ヒブワクチンの1回目の同時接種後、
7日後にうつ伏せ寝で心肺停止状態で発見されています。
解剖所見でも特異的な所見は見られず、
SIDSと診断がされています。

7日後の発症ということを考えると、
この経過でワクチンの副反応は考え難い、
と僕も思います。

事例7は6ヶ月未満の基礎疾患のないお子さんで、
ヒブワクチンと3種混合の同時接種後、
2日後の夜から頻呼吸となり、
3日後の深夜に呼吸停止で発見されています。
解剖所見では急性循環不全とされています。

2日目の夜からの体調不良というのが、
ちょっと微妙なところで、
もし接種後翌日くらいから、
何らかの体調不良が始まっていたとすれば、
ワクチンの副反応の可能性が高いと思いますが、
その情報は明確ではなく、
僕は判断を保留にしたいと思います。

実はこの事例は、
報告は遅れますが、
実際の接種は昨年の7月で、
時系列から言うと、
最も古いものです。

以上が今年3月の専門家会議で俎上に上った、
接種後死亡事例の概要です。

事例1から4までは、
肺炎球菌ワクチンプレベナーとの関連が、
否定出来ない事例です。

一方でヒブワクチン単独の死亡事例が、
以前の報告を含めて2例あり、
同時接種の事例を含めると7例に関与しています。

僕はどちらかと言えば、
ヒブワクチンより肺炎球菌ワクチンのリスクを、
やや重く見ていますが、
今回の事例のみを見る限りは、
ヒブワクチンを含む死亡事例の方が、
より多く報告されています。

ただ、内容を見ると、
必ずしもワクチン接種との因果関係を、
強く疑わせるものではなく、
専門家の方が言われるように、
全く関連性がないとは思いませんが、
事例1と2を除いては、
あるともないとも断定は出来ないレベルのものと思います。


現状では僕は小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)と、
他のワクチンとの同時接種は、
保護者の方が強くご希望された場合以外には、
行なっていません。

ヒブワクチンと他のワクチン(主に3種混合ワクチンですね)
との同時接種に関しては、
これまで通りで保護者の方のご希望があれば、
行なっています。

これは日本の添付文書の記載などから考えて、
ヒブワクチンよりプレベナーの方が、
副反応の事例が多いことが想定されるためと、
ヒブワクチンと3種混合との混合ワクチンは、
むしろ欧米では一般的であることが、
その主な理由です。

現在日本で接種されている小児用肺炎球菌ワクチンは、
7価のワクチンであり、
含有されていないタイプの肺炎球菌による感染症が、
その使用後増加したという報告もあります。
海外では既に改良型の13価のワクチンの接種が開始されており、
その意味でも現在のワクチンは、
過渡期のものであり完成形ではないと思います。
その使用は勿論有効性はありますが、
たとえば破傷風や麻疹のようなワクチンの意義と比べると、
まだ未知数の部分を含んでいると思います。

従って、
まず3種混合とヒブワクチンを、
優先させてから様子を見て、
お子さんの体調が良く、
感染症の大きな流行のない時を見定めて、
プレベナーを追加する、
という方針で現状は良いのではないかと、
個人的にはそう考えています。

今日は小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの、
接種後死亡事例についての再検討でした。

それでは今日はこれくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

(この記事は2011年6月15日午前8時に、
一部修正を加えました)



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